フランチャイズ加盟に必要なコストを整理する

各企業でフランチャイズ加盟金は異なりますが、安いものは数十万円から高いもので500万円以上かかることもあります。もちろん加盟料だけの話ですので、開業支援金、保証金、外装・内装工時代、その他経費を含めると開業に必要な資金は1000万以上となることも珍しくありません。近年は、加盟金ゼロ、ロイヤリティゼロなど、開業費用をできるだけ安く抑えようとする本部も増えてきました。

開業資金に決まった相場はありませんが、300万円〜1000万円となるものがほとんどでしょう。もちろん、この金額以下で開業できるFC本部もありますが、契約内容の細かい確認と深い理解が大切です。

本記事では、フランチャイズビジネスでオーナーが開業までに必要な経費とその内容をわかりやすく解説していきます。

開業資金の内訳を公開

フランチャイズビジネスでは本部の商標やブランド力を利用する代わりにその対価が必要となります。加盟金は、本部とフランチャイズ契約を結ぶときに支払う最初の対価です。契約金とも言われます。後に述べる保証金と違って契約終了時に返還されないものです。

加盟金の内容

加盟金は数十万円のものから500万円を超えるものまでさまざまです。その内容は商標使用権料、契約時の機密情報(経営ノウハウなど)提供料、スーパーバイザー派遣料、店舗立地調査料、営業費用などが含まれています。一概には言えませんが、加盟金が高いほどこうした本部のサポートも手厚いと思って差し支えないでしょう。

逆に加盟金が安いからといって何のサポートも受けられない訳ではないですが、加盟金の安さを誇張した詐欺なども横行していますので、契約時にはくれぐれも注意してください。

加盟金の内容(一例)

1 商標・ブランドの使用権料
2 加盟時の機密情報(ノウハウなど)提供料
3 開業スタッフ派遣料
4 新規店舗立地調査費用
5 広告宣伝費、営業費

保証金

フランチャイズ契約では、商品代金やロイヤリティなどの債務を担保するための保証金が必要です。保証金は債務の支払いが遅れたとき、あるいは第三者に損害が生じた場合に充当されるお金となります。なお、保証金は本部との契約終了時には加盟者に返還されます。きちんと全額返還されるためにも未払いや支払いに遅延がないよう気を付けましょう。

開業前研修費

本部によっては開業に先立って、経営ノウハウの習得や営業方法を身につける研修があります。研修にはオーナー研修とスタッフ研修があります。本部が海外企業の場合、本国で研修を受けるケースもあります。このような場合、若干研修費が高額になったりするので、研修内容はよく確認して準備に備えておくとよいでしょう。宿泊費や交通費などは加盟者が負担することが多いからです。

研修期間は1週間で終わるところもあれば、1ヶ月以上かかるものもあります。スケジュールは余裕を持って調整したほうがいいでしょう。

特に経営未経験のオーナーにとっては貴重な体験となります。研修では「経営方針」「企業理念」など基礎的なことから、「店舗運営の基礎」「接客方法」「スタッフのマネジメント方法」など幅広く学ぶことができます。専門的な業界用語や経営知識を身につけることで店舗オーナーとしての第一歩を踏み出します。

ロイヤリティ

毎月の売上の何割かを本部に支払わなければならないのがロイヤリティです。その内容は毎月のブランド利用料、経営指導料、機器・システムレンタル料などが含まれます。

ロイヤリティの算定方法は、売上高に応じた「売上歩合方式」や、毎月一定額の「定額方式」、売上総利益に対して一定の割合を乗じる「粗利分配方式」があります。粗利分配方式は大手コンビニエンスストアで採用されています。

加盟しようとする企業がどの方式でロイヤリティを算出しているかも確認することが大切です。

ロイヤリティの算定方法(一部)

売上歩合方式 売上の何%かを乗じた金額を本部に支払う
定額方式 毎月固定の金額を本部に支払う
粗利分配方式 粗利(売上総利益=売上高—売上原価)に一定の割合を乗じた金額を本部に支払う

店舗・設備費

本部が指定する店舗づくりのために必要となる経費です。店舗・土地取得、内装・外装工事、什器・器具の設置などにコストがかかります。賃借する場合は、敷金・礼金、仲介手数料に加え、店舗家賃を毎月支払う必要があります。繁華街や都心でレンタルするとさらに高額になります。

また、開業初期は収入がゼロになることも十分に考えられるので、運転資金として3ヶ月分の生活費は用意しておくのがベストでしょう。経営が軌道に乗るまで、「収入はこのくらい入るだろう」という楽観視は禁物です。

店舗選びでは、人から目がつきやすい場所にあるか、わかりやすい場所にあるかなどが重要になります。商売はまず、お客様に見つけてもらうのが基本です。不潔で暗い場所にあると人は入りづらくなります。本部による立地調査でも入念にチェックされる項目です。日当たりがよく清潔な場所にオープンするのが理想的です。

店舗・設備費は、加盟する業種によっては開業資金で最もかかる費用となるので十分な資金を用意しておくことが大切です。

加盟金、ロイヤリティが無料って本当?

近年は開業費用をできるだけ抑えようと、一定の条件でロイヤリティフリー(無料)とする本部が増加してきました。「開業後2ヶ月まで」「生徒数が20人を超えるまで」などの条件付きですが、経営が初めての加盟者には、心強い味方になるのではないでしょうか。

このほか加盟金の免除や、35歳以下の若年者には一定額を支給するなど、開業に対するハードルを下げる競争が加速しています。0円開業と宣伝するのも最近のスタンダードとなりつつあるようです。

しかし、いくら上手い話があってもフランチャイズ業界はやはり厳しい世界です。開業費用の安さばかりに目が眩んで肝心の経営がおろそかになっては元も子もありません。自分がなぜフランチャイズに加盟するのか、何を成し遂げたいのかなど自分自身に問いかけ直してみてください。

目当てのFC本部を見つけたらまずはパンフレットなり資料請求をして情報収集に努めましょう。次に説明会に参加して本部スタッフの話を直接聞き、興味がわけば本格的な検討に乗り出してください。