【フランチャイズ契約】加盟前と加盟後で話が違う!?

本部と加盟店がフランチャイズ契約を結ぶ際、本部側には予想売上や経営指導内容など一定の情報開示が求められます。しかし、契約後、提示額よりも実際の方が低かった、ロイヤリティの額が違ったなどのトラブルが後を絶えません。
公正取引委員会によれば、「本部の開示内容と実際の内容とで異なっていた事項」として、コンビニエンスストアでは「予想売上げや収支モデルの額」との回答が53.0%と半数以上にのぼります。

本来、本部と加盟店は独立した関係にありますが、実際は上下関係にあることがほとんど。「本部の言いなり」になる加盟店も少なくありません。

契約後のトラブルを避けるためにも、どのような問題が多く発生しているのかを確認しておきましょう。

話が違う?開示内容と実際が異なった事例

公正取引委員会は、コンビニエンスストアを経営する事業者にアンケート調査を行ったところ、1648店から回答があり、うち加盟店は1358店(83.9%)でした。

半数以上の加盟者「売上げが予想と違う」

コンビニエンスストアの加盟者に対して本部が提示した資料(会社案内、予想売上げ、収支モデルなど)に関する調査では、「本部の開示内容と実際の内容とで異なっていた事項」(複数回答)として最も多かったのが、「予想売上げや収支モデルの額」で53.0%でした。

次いで、「経営指導の内容」27.9%、「店舗周辺の地域に本部の直営店又は他の加盟店を出店させる可能性の有無」24.0%、「更新の条件」23.1%、「経営支援の内容(融資利率、損失に対する補償の有無・支援の内容等)」および「ロイヤルティ(算定方法・額、徴収の時期、徴収の方法等)」19.3%、「決済方式の仕組みや条件(オープンアカウント、その他)」13.8%、「解約条項(契約の解除条件、解約金又は違約金の額や算定方法)」9.5%、「契約後に新規事業を導入する際の条件」7.9%、「推奨販売価格」7.0%、「契約終了後一定期間の競業禁止義務」6.6%、「加盟金(性質・額・返還の有無及び条件等)」5.9%、「推奨仕入先」4.6%、「その他加盟店に不利益となり得る事項についての情報」16.3%と続きます。

コンビニエンスストにおける本部の開示内容と実際の内容とで異なっていた事項

予想売上げや収支モデルの額(提示額よりも実際の方が低かった) 53.0%
経営指導の内容(方法、回数、本部の費用負担等) 27.9%
店舗周辺の地域に本部の直営店又は他の加盟店を出店させる可能性の有無 24.0%
更新の条件 23.1%
経営支援の内容(融資利率、損失に対する補償の有無・支援の内容等) 19.3%
ロイヤルティ(算定方法・額、徴収の時期、徴収の方法等) 19.3%
決済方式の仕組みや条件(オープンアカウント、その他) 13.8%
解約条項(契約の解除条件、解約金又は違約金の額や算定方法) 9.5%
契約後に新規事業を導入する際の条件 7.9%
推奨販売価格 7.0%
契約終了後一定期間の競業禁止義務 6.6%
加盟金(性質・額・返還の有無及び条件等) 5.9%
推奨仕入先 4.6%
その他加盟店に不利益となり得る事項についての情報 16.3%

(公正取引委員会資料より作成)

コンビニ以外では「経営支援内容」で大きな乖離

次に、コンビニエンスストア以外の加盟店を対象に「本部の開示内容と実際の内容とで異なっていた事項」の調査を行ったところ、最も多かった回答は「予想売上げや収支モデルの額(提示額よりも実際の方が低かった)」で44.4%でしたが、次いで、「店舗周辺の地域に本部の直営店又は他の加盟店を出店させる可能性の有無」33.3%となりました。

このほか、「経営指導の内容」22.2%、「更新の条件」および「店舗周辺の地域に本部の直営店又は他の加盟店を出店させる可能性の有無」11.1%、「ロイヤルティ(算定方法・額、徴収の時期、徴収の方法等)」22.2%、「「推奨販売価格」11.1%、「契約終了後一定期間の競業禁止義務」0.0%、「加盟金(性質・額・返還の有無及び条件等)」5.9%、「推奨仕入先」11.1%、「その他加盟店に不利益となり得る事項についての情報」%となりました。

決済方式の仕組みや条件(オープンアカウント、その他)」「解約条項(契約の解除条件、解約金又は違約金の額や算定方法)」「契約後に新規事業を導入する際の条件」はいずれも0.0%でした。

予想売上げや収支モデルの額(提示額よりも実際の方が低かった) 44.0%
経営指導の内容(方法、回数、本部の費用負担等) 22.0%
店舗周辺の地域に本部の直営店又は他の加盟店を出店させる可能性の有無 11.0%
更新の条件 11.0%
経営支援の内容(融資利率、損失に対する補償の有無・支援の内容等) 33.3%
ロイヤルティ(算定方法・額、徴収の時期、徴収の方法等) 22.2%
決済方式の仕組みや条件(オープンアカウント、その他) 0.0%
解約条項(契約の解除条件、解約金又は違約金の額や算定方法) 0.0%
契約後に新規事業を導入する際の条件 0.0%
推奨販売価格 11.1%
契約終了後一定期間の競業禁止義務 0.0%
加盟金(性質・額・返還の有無及び条件等) 22.0%
推奨仕入先 11.1%
その他加盟店に不利益となり得る事項についての情報 11.1%

(公正取引委員会資料より作成)

開示されたものとなぜ異なっていたか

事前に説明を受けた予測売上げよりもなぜ下回ったのか。この理由について、公正取引委員会の調査では、提出された資料の説明が不十分だったり、虚偽もしくは誇大な内容だったことが明らかとなりました。

約半数が「提示された資料が不明確だった」

コンビニエンスストアのフランチャイズ契約において、開示内容と実際の内容が異なった理由について、「提示された資料の内容又は説明がはっきりとしない又は十分でなかった」と回答する加盟者が全体の49.8%にのぼりました。

次いで「提示された資料の内容又は説明が正確でなかった(虚偽若しくは誇大な内容であった)」32.1%、「自身の思い違いによるため」12.4%、「その他」32.5%と続きました。

提示された資料の内容又は説明がはっきりとしない又は十分でなかった 49.8%
提示された資料の内容又は説明が正確でなかった(虚偽若しくは誇大な内容であった) 32.1%
自身の思い違いによるため 12.4%
その他 32.5%

コンビニ以外では、不正確な説明はゼロ

次に、コンビニエンスストア以外の加盟者に「本部の開示内容と実際の内容が異なっていた」理由を尋ねると、最も多かったのは「提示された資料の内容又は説明がはっきりとしない又は十分でなかった」で44.4%でした。

次いで、「自身の思い違いによるため」22.2%、「その他」33.3%となります。また、「提示された資料の内容又は説明が正確でなかった(虚偽若しくは誇大な内容であった)」と回答した加盟者はゼロでした。

提示された資料の内容又は説明がはっきりとしない又は十分でなかった 44.4%
提示された資料の内容又は説明が正確でなかった(虚偽若しくは誇大な内容であった) 0.0%
自身の思い違いによるため 22.2%
その他 33.3%