大手コンビニの加盟料・ロイヤリティ徹底比較③ 〜ポプラ、スリーエフ、セーブオン編〜

前回記事「大手コンビニ3社の加盟料・ロイヤリティ徹底比較②」では、ミニストップ、デイリーヤマザキ、セイコーマートを紹介しました。今回は、業界勢力図で第3グループに属するポプラ、スリーエフ、セーブオンを取り上げます。店舗数は500前後で全国展開しているわけではないものの、地域ごとの特色を生かした運営に取り組んでいます。特にポプラは広島を中心とした中国地方と東京圏で主に展開しています。なお、セーブオンは今年1月、ローソンのメガフランチャイジーとして全503店舗を順次ローソン店舗に切り替えていく方針であることを発表しました。

大手では見られない商品ラインナップが魅力で、根強いファンを獲得している第3グループのコンビニ。あえて大手以外のコンビニにフランチャイズ加盟するメリットはあるのか。加盟料、ロイヤリティなど加入条件と経営状況を詳細に見ていきましょう。

直近のコンビニフランチャイズ市場概況

10月のコンビニエンスストア統計調査(日本フランチャイズチェーン協会発表)によれば、10月は季節外れの台風などが影響したため、コンビニへの客足が若干遠のきました。結果、商品構成比別の売上高では、日配食品は前年同月比2.8%減少、加工食品では2.2%の減少、非食品は0.1%の減少、サービスは2.9%の減少で全体では1.8%の減少となりました。

商品構成比の前月比較(既存店ベース)

構成比 前年同月比
日配食品 36.4% 2.8%減少
加工食品 27.3% 2.2%減少
非食品 31.0% 0.1%減少
サービス 5.3% 2.9%減少
合計 100.0% 1.8%現象

(日本フランチャイズチェーン協会資料より)

第3グループの加盟金・ロイヤリティ

ポプラ、スリーエフの加盟に必要な金額を見ていきます。いずれも全国展開しているわけではないですが、地域によっては大手コンビニに引けを取らないほどの知名度を有します。お弁当やホットスナックも個性的で、他店にはないオリジナリティがあります。

ポプラの場合

ポプラ並木のように成長する企業になろうとの理念で1976年に創設された株式会社ポプラは、1号店を広島に出店しました。

初出店から14年後には100店舗を突破し、98年には関東地区への進出を果たします。2003年に一部上場し、05年に電子決済の導入を始めました。12年には広島県と包括的連携協定を結び、地域の活性化や地域が抱えるさまざまな課題に取り組むことを発表しました。

ポプラと広島県の包括的協定項目

1 県内の情報発信や観光振興
2 地元名産品の販売促進
3 地域の安全・安心
4 子育て・高齢者・障害者支援
5 県民サービスの向上や地域活性化

(参照:広島県ホームページ)

ポプラの店舗数は2017年10月末時点で全国464店舗となります。最も多いのが広島で91店舗。次いで東京都79店舗、福岡県44店舗です。このほか中国地方で163店舗(岡山県23店舗、鳥取県10店舗、島根県14店舗、山口県25店舗)と全体の3分の1以上を占めています。

ポプラの全国店舗数(2017年10月時点)

茨城県 9店舗 兵庫県 9店舗
栃木県 1店舗 鳥取県 10店舗
埼玉県 20店舗 島根県 14店舗
千葉県 24店舗 岡山県 23店舗
東京都 79店舗 広島県 91店舗
神奈川県 22店舗 山口県 25店舗
富山県 13店舗 福岡県 44店舗
石川県 10店舗 佐賀県 7店舗
滋賀県 1店舗 長崎県 15店舗
京都府 4店舗 熊本県 10店舗
大阪府 22店舗 大分県 11店舗
合計 464店舗

(ミニストップH店舗Pより)

10月期は全店で1日当たり客数610人、客単価523円、日商売上31万9000円となりました。

ポプラのフランチャイズ契約形態は、おもに、加盟オーナーが土地・建物を用意するタイプ(Aタイプ出店)と、本部が用意するタイプ(Bタイプ出店)に分かれます。

契約時に支払う加盟金は、いずれのタイプも100万円、保証金1㎡あたり3万円、開店時の仕入費用である商品代金400〜550万円となります。100㎡の店舗を用意する場合、最低でも800万円ほどの費用がかかることになります。このほか釣り銭準備金や備品・消耗品費、人材募集費、広告費などが別途必要になる場合があります。

ミニストップの契約タイプ別の加盟料

Aタイプ出店(自分が店舗を用意) Bタイプ出店(本部が店舗を用意)
加盟金 100万円 100万円
保証金 (100㎡の場合)300万円 (100㎡の場合)300万円
商品代金 400万円 400万円
合計 800万円 800万円

毎月支払うロイヤリティは、どちらのタイプも売上高の3%となります。このほか定期的に支払う費用として、Aタイプでは家賃(転貸借料)、Bタイプでは店舗設備使用料があります。なお、加盟店の売上が一定の金額を超えなかった場合に本部が補填する最低保証制度はありません。

ポプラのロイヤリティと定期的に支払う費用

Aタイプ
自分が店舗を用意)
Bタイプ
本部が店舗を用意)
売上高に対するロイヤリティ 3%
定期的に支払う費用 家賃 店舗設備使用料
その他 水道光熱費

店舗設計やレイアウトはポプラ本部が行うとしています。加盟契約後は、店舗運営に関する15日間の実務研修を経てから商品搬入・陳列、アルバイトの採用などの開店作業に入ることになります。

(参照:ポプラHPより)

スリーエフの場合

関東のみで展開しているスリーエフは、1981年創業の業界第5位のコンビニエンスストアです。1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)以外では見かけることがないため、地方から訪れる人にとっては珍しく魅力的に映るようです

神奈川県に第一号店を出店して以降、89年には100店舗を突破し、2000年に東京証券取引所2部上場を果たします。翌年過去最多となる600店舗に達成。その後は電子決済など利便性の向上にむけたサービスへ対応するも、店舗数は徐々に減少していきました。

現在の国内店舗数は438店舗となります。最も多いのが神奈川県218店舗で、次いで東京都118店舗、千葉県71店舗、埼玉県31店舗です。

スリーエフの店舗数(関東地区のみ)

東京 118店舗
神奈川 218店舗
埼玉 31店舗
千葉 71店舗
合計 438店舗

(参照:スリーエフHPより)

スリーエフのフランチャイズ加盟契約では、本部が店舗・土地を用意する「FC-Cnタイプ」と、自前で用意する「FC-Bnタイプ」のほか、契約社員として研修を受けたのちに審査を経てFC-Cnタイプの条件が優遇される「独立研修社員制度」の3つがあります。通常、夫婦や家族2名での経営が条件となるFC加盟において、独立研修社員制度は単身でも契約できるのが最大の特徴です(※独立する際はパートナーが必要)。20歳以上を対象に契約社員としてスリーエフの研修に従事した後、審査を経て独立するという制度です。

加盟金は、「FC-Cnタイプ」「独立研修社員制度」「FC-Bnタイプ」のいずれの場合も、開店準備手数料50万円、研修費50万円の合計100万円が必要になります。しかし、「独立研修社員制度」では加盟金が免除されるほか、独立支援金として250万円が支給されます。契約期間は10年です。なお、「FC-Cnタイプ」「独立研修社員制度」では連帯保証人が必要となります。

スリーエフの契約タイプ別の加盟料

FC-Cnタイプ 独立研修社員制度 FC-Bnタイプ
開業準備手数料 50万円 50万円 50万円
研修費 50万円 50万円 50万円
加盟金免除 100万円
独立支援金 150万円
220万円 250万円の支援 180万円

次に、ロイヤリティを見ていきます。
「FC-Cnタイプ」「独立研修社員制度」の場合、300万円以下の売上総利益(粗利益)に対して45%、300万円超〜450万円以下では70%、450万円超では60%となります。

一方、自分で店舗を用意する「FC-Bnタイプ」では、粗利益に対して300万円以下で41%、300万円超〜450万円以下では36%、450万円超〜600万円以下で31%、600万円超で21%となります。

スリーエフのロイヤリティ

FC-Cnタイプ 独立研修社員制度 FC-Bnタイプ
300万円以下 45% 45% 41%
300万円超〜
450万円以下
70% 70% 36%
450〜600万円超 60% 60% 31%
600万円超 21%

また、加盟店の売上が一定の金額を超えなかった不足分を補う最低保証制度は、「FC-Cnタイプ」「独立研修社員制度」で年間1860万円、「FC-Bnタイプ」で年間1980万円です。このほか、「FC-Cnタイプ」「独立研修社員制度」では店舗光熱費の半分を本部が負担する特典があります。

ローソンとメガフランチャイズ契約を締結したセーブオン

北関東を中心に展開していたセーブオンは今年2月、503全店舗を順次ローソン店舗として切り替えていく方針であることを発表しました。現在、セーブオンはローソンのメガフランチャイジーとしてコンビニ経営を続けている状況です。

1984年創業のセーブオンは、本社のある群馬県を中心に栃木県、新潟県、埼玉県、千葉県でチェーン展開していました。しかし、2012年8月以降から、富山県・長野県・茨城県・福島県・山形県の5県で82店舗を「ローソン」店舗への切り替えが進められていました。現在、セーブオンとして出店している地域は群馬県と新潟県の278店舗のみとなっています。

ローソン店舗への切り替え状況

2017年2月 ローソンとメガフランチャイズ契約の締結
2017年6月 埼玉県内全46店舗を7月中にローソンに転換
2017年9月 千葉県内全44店舗を10月中にローソンに転換
2017年10月 栃木県内全31店舗を11月中にローソンに転換

これまで低価格メニューなどを売りにしていたセーブオン。同店舗が消滅するとのニュースに対して本拠地である群馬の県民からは「セーブオン以外じゃオリジナルメニューの焼きまんじゅうが買えなくなるのか」「39円アイスは学生の味方だったのに…」と惜しむ声が多数寄せられました。セーブオンオリジナルメニューを今後も販売継続するかについては未定ですが、中堅コンビニエンスストアの厳しい経営状況が改めて浮き彫りとなりました。

最も加盟費用が安いのは?

今後ローソンに切り替わるセーブオンを除くポプラ、スリーエフの2社を比較すると、加盟金はどちらも100万円ですが、スリーエフの「独立研修社員制度」を利用すれば、加盟金免除のうえ150万円の独立支援金が支給されるので、最もお得と言えるかもしれません。

一方、ロイヤリティでは、多くのコンビニが売上総利益に対して30〜60%程度とするなか、ポプラは「売上高の3%」と設定しています。最低保証金制度はないですが、コンビニFCのなかでも最も低いロイヤリティと言えるでしょう。利益を上げればあげるほど、オーナーの収入増加につながります。

2社加盟費用比較(店舗・土地は本部が用意するタイプ)

ポプラ スリーエフ セーブオン
加盟金 100万円 100万円
ロイヤリティ 20%〜70%
(粗利益に対して)
3%
(売上高に対して)

セーブオンが大手の傘下に入ったように、人口減少や少子高齢化が進行するなか中堅コンビニFCが生き残るのは大変厳しいものかもしれません。確実な収入を求めるなら、大手一択だろうとの見方もあります。しかし、生活インフラの一部となったコンビニエンスストアに加盟する意義は利益を上げることだけではないはずです。ポプラが広島県と包括的協定を締結したように、現在、各コンビニはその地域の社会問題解決、文化振興などの重要な役割を担うようになりました。このような地域社会におけるコンビニの存在意義を考慮して、自分に最も合ったフランチャイズ加盟をしてみても面白いかもしれません。