本部に好かれる加盟店オーナーになるには?

出世する人物といえば仕事の能力よりも上司に取り入るのが上手だったり、八方美人な性格だったりします。いわゆる“人たらし”“太鼓持ち”なキャラクターが目上の人に好まれる傾向があると言われます。

このような人たちは真面目で正義感の強い人から見れば軽薄な印象を受けるかもしれませんが、実は、経営者にとって大切な能力の1つなのです。特にフランチャイズに加盟するオーナーに必須のコミュニケーション能力と言えます。

加盟オーナーに求められる寛容性

フランチャイズビジネスでは、独立志向が高く、商才にあふれた人物が毎年多く加盟してきます。ところが、たとえ才能があっても全員が生き残れるわけではありません。それは一体なぜでしょうか。

信念が強すぎる経営者も

まず加盟オーナーの特徴の1つに、「信念が強すぎること」が挙げられます。経営者の多くはこれまでの知識・経験と自信を武器に新規ビジネスを始めますが、独自の理論が強すぎて周囲の意見をないがしろにすることがあります。これは加盟オーナーも同じです。

加盟店は本部の指導・支援のもと適正な店舗運営をすることが主な仕事です。しかし、運営の仕方をめぐって本部と衝突することも少なくありません。FC契約では商品の仕入先や仕入数量などがあらかじめ決められており、加盟オーナーが介入できる余地がほとんど残っていないケースもあります。大手コンビニチェーンによるオーナーに対する値引き禁止も一時期問題となりました。

フランチャイズ経営は2人3脚

このようにFC加盟は一般的な起業・開業よりも制限が多い店舗経営となります。そのため、加盟者のなかには本部システムの1つ1つに異を唱えているオーナーもいます。創意工夫をもって経営に当たるのはいいことですが、本部の指示を全て突っぱねると余計な衝突ばかり生んでしまいます。最悪、契約解除となってしまうでしょう。

本部の命令をある程度受け入れる寛容性がないと加盟店舗経営は難しいかもしれません。経営者となった以上、自分の主張を押し通してみたいのは分かります。しかし、本部はあくまで共同パートナーであり、敵ではないのです。加盟者と本部の足並みが揃わないかぎり、店舗の成長はありえないと肝に銘じるべきです。

コミュニケーション力が必要な5つの場面を知ろう

FC加盟では本部のブランド力や商品開発力に頼りすぎた結果、1年以内に撤退したというケースが少なくありません。多くのオーナーが「売上が思ったように伸びない」と嘆き、閉店に追い込まれてきました。

加盟店舗の経営指導を担当するスーパーバイザー(SV)の言いなりになるのも危険です。SVはコンサルティングや各種調査を手伝ってくれますが、経営を運営するのはオーナー自身です。SVを過信せず、最後は自分が責任を持って判断しなければなりません。

大切なのは本部と良好な関係を維持し、信頼されながらの能動的に店舗運営に取り組む姿勢です。特に次の5つのシーン(場面)で必要になってきます。

コミュニケーション力が必要な5つの場面

1 本部と良好な関係を築く
2 加盟後の営業
3 家族から理解を得る
4 良い人材を育成する
5 本部の指示を柔軟に受け入れる

以下、それぞれを詳しく見ていきます。

本部と良好な関係を築く

本部が理想とする加盟オーナーとは、指示した内容をきちんと守った上で、創造性のある提案をする人物です。本部の説明をよく聞かず、自分勝手な提案ばかりするオーナーが最近少なくないようです。経営プランに自信があることは悪いことではありません。しかし、自分の要求を一方的に押し付ける前に、相手(本部)が求めていることを把握し、それを達成して見せましょう。本部からの厚い信頼が得られるはずです。

まずは担当するスーパーバイザー(SV)との信頼関係の構築を目指しましょう。SVは加盟店のコンサルティングや悩み相談に乗るほか、契約どおりに経営を行えているかを監視し、それを本部に報告します。対して、加盟者はSVの要求に真摯に応えることが重要です。課題を1つ1つクリアすることで、本部からの評価も上がるはずです。本部との良好な関係はSVとのコミュニケーションから始まります。

加盟後の営業

オーナーのなかには営業経験が全くないという加盟者もいることでしょう。現在のフランチャイズビジネスでは、本部のブランド力を利用しているからといってチラシ配りだけをしていればいい時代ではありません。

大切なのは、見込み客に定期的にリーチしているか、販促方法は間違っていないか、新規顧客の増加につながっているかなどの営業分析です。加盟オーナーの最も重要な仕事の1つと言えます。

スーパーバイザーとの定期的な打ち合わせでは売上分析に基づいた経営指導、店舗運営方針の確認が行われます。フランチャイズオーナーの強みは本部が持つ確かな経営分析力を最大限利用できる点にあります。競合店が乱立するフランチャイズ業界では欠かせない戦略手法となっています。

店舗は、SNSを通じた営業や口コミサイトを利用した集客改善などオーナーの工夫次第で成長します。スーパーバイザーと積極的にコンタクトを取り、売上アップに取り組みましょう。複数店舗経営、メガフランチャイジー化に成功した経営未経験者も少なくありません。全ては加盟オーナーの腕次第です。

家族から理解を得る

もしあなたに配偶者や子どもがいるなら、家族の理解は欠かせません。脱サラしてFC加盟するにはそれなりのリスクを伴うからです。これまで安定していた収入源を失い、生活スタイルは余儀なく変更されます。

では、開業にかかるお金はどれくらいなのか。日本政策金融公庫によれば開業資金の平均は1223万円(2016年時点)とされています。構成比では最も多かったのが「500万円未満」35.3%で、次いで「500〜1000万円未満」30.9%となりました。開業資金の調達先では、「金融機関からの借り入れ」「自己資金」に次いで「配偶者・親・兄弟・親戚」が高くなります

店舗を借りるタイプのFC契約では一から店舗づくりをする必要はないですが、加盟金や毎月のロイヤリティが発生します。本部のブランド力や経営システムを利用する代価となるものです。

資金調達額1433万円の内訳(2016年)

順位 資金調達先 金額
1位 金融機関等からの借り入れ 931万円
2位 自己資金 320万円
3位 配偶者・親・兄弟・親戚 84万円
4位 友人・知人等 56万円
5位 その他 42万円

(日本政策金融公庫「2016年度新規開業実態調査」)

また、開業後、スタッフがいない状態では身内のサポートを得ることもあるでしょう。身近に手伝ってくれる存在がいることは心の大きな支えとなります。「フランチャイズに加盟する」と決めたらまずは家族に相談しましょう。開業目的、事業計画、必要な資金など全てを話す必要があります。簡単に説得できないかもしれませんが、時間をかけて理解を得るよう努めましょう。

良い人材を育成する

アルバイトなどのスタッフを必要とする業種なら、人材育成次第で店舗運営は大きく左右されます
経営では人件費が最も大きなコストの1つとなります。優秀なスタッフを育成できるかどうかは、実は、フランチャイズ経営で最も大切な要素の1つなのです。本部によってはスタッフ研修として充実した研修プランを用意している企業もありますが、あくまで初歩的な研修でしかありません。

一人前のスタッフに育てるには現場で責任を与えて経験を積ませるのが基本となります。この際、オーナーはスタッフの悩み相談など真摯に受け止め、時には厳しく、時には優しく指導することが大切です。せっかく優秀なスタッフに育ててもすぐ辞められては最初から育成しなければなりません。そうならないためにも、スタッフとの信頼関係の構築は最優先課題とも言えます。

仮にスタッフが自分より一回り以上年下なら、自分とは価値観が全く違った若者だと決めつけずに歩み寄ることから距離を縮めていきましょう。

本部の指示を柔軟に受け入れる

本部の指示は時に理不尽に映るかもしれません。本部と加盟店のトラブルでは、最高裁まで争われたケースもあります。しかし、法律に違反するものなどを除けば、それは本部がこれまでに積み重ねてきた実績に基づく判断なのです。

本部と加盟店は独立した対等関係にあるとされますが、実際には明確な上下関係にあることも少なくありません。本部の“いいなり”となる加盟オーナーも実際多いです。

しかし、上司の指示すること全てに楯突く社員は会社から居場所を失くしてしまいます。これはフランチャイズ業界でも同じです。まずは本部の指示を素直に受け入れて、着実に結果を残していきましょう。それが本部に好かれる加盟オーナーになる大切な第一歩です。